豊かな森に支えられた環境

循環型林業

 

自然の中に生きる木、生活を豊かにする木。その命を感じる木育。木という自然の恵みを活用したまちづくりが推進できるのは、当麻町に豊富な森林資源があるから。

「豊富な森林資源を大事に」と手を付けずにそのままにしておくことは、森林の未来にとって良いことではありません。樹木は歳を重ねれば重ねるほど、二酸化炭素の吸収量が減り、さらに枯死してしまうと逆に二酸化炭素を排出してしまいます。カーボンニュートラルを目指すと同時に、未来への森づくりを進めるためには、伐期を迎えた樹木を伐り、二酸化炭素の吸収が期待できる若い木の育成が重要となります。

当麻町の民有林は約半分が人工林であり、その8割が林齢40年生を超え伐期を迎えています。その多くを管理している当麻町森林組合は、計画的に〝木を伐る→木を植える→木を育てる〟という「循環型林業」を実践し、未来へ資源を育てる林業を進めています。

そして、新たに森林組合が取り組んでいるのが、北海道立総合研究機構林業試験場が開発した新たな樹種「クリーンラーチ」の栽培。クリーンラーチとはカラマツとグイマツをかけ合わせた樹種で、野ネズミの食害に強く、成長の早さと二酸化炭素の吸収量が高いことから、地球温暖化防止の効果も期待される樹種です。

令和2年にJA当麻協力のもと、農産物の育苗ハウスにおいて、苗生産の臨床試験に成功したことから、令和6年度より事業を本格化。北海道の森林の未来を担う樹種の育成が当麻町で進められています。

森林整備は、木の成長が長期にわたるため、施策の効果がすぐ表れるものではありません。当麻町は豊かな森林の未来像を描きながら、地道に着実に森林を育てています。

 

木材の活用

 

未来へ森林資源を残す「循環型林業」を進めるためには、伐った木を有効に活用していくことも重要です。

当麻の山林から伐り出したカラマツなどの木材は、一般製材や梱包材などとして広く流通していますが、〝当麻産の木材〟と認知される機会はありません。当麻産木材の素晴らしさを広く知っていただくとともに、その価値を向上させるため、当麻町は町産木材の有効活用を進めています。その一つが住宅や店舗への町産木材活用補助。町内で新築住宅を建築し、町産木材を使用した場合、補助をしています。

公共施設にも積極的に町産木材を活用。役場は町産木材を100%使用した木造庁舎(暖房に木質バイオマスボイラーを使用)。公民館まとまーるは97%、くるみなの木遊館 、子育て総合センター、公営住宅にも積極的に町産木材を活用しています。木の香りと温もりを感じながら、利用できる空間であり、「木育と林業のまち」を具現化したシンボルでもあります。

木材をブランド化し、持続的な森林経営を支援するために、適切に管理された森林を、第三者機関が認める「森林認証制度(SGEC)」。町産木材活用の要となる当麻町森林組合は、この制度の認証事業体となっており、当麻町の民有林の多くが認証森林となっています。

当麻町の取り組みに共感し、日本郵便株式会社が令和5年、町産木材を活用した当麻郵便局を新築。役場庁舎と同様に木質バイオマスボイラーを使用し、太陽光発電も設備した局社は、環境配慮型郵便局「+(プラス)エコ郵便局」として、北海道では初めて導入された建物となっています。